「賢者の贈り物」と、クリスマスの作法ー

香西咲さんを勝手に応援するサイトの管理人の「焼酎好き」です。よろしくお願いします。

クリスマスが近づいてきました。
ぼくは子供のころ、親からプレゼントをもらうのが楽しみでした。
胸をときめかせて、来る日の到来を待ちこがれたものです。

「賢者の贈り物」というオー=ヘンリーの佳作があります。
大変有名な作品ですので、ご存じかもしれません。
いちおうあらすじをご紹介します。

アメリカのある町に、デラとジムという貧しい夫婦が住んでいました。
クリスマスを明日に控えた日のことです。
妻のデラはこれまで、夫のジムにプレゼントを贈るため、切り詰めた生活をしてきました。
努力のかいも虚しく、お金はたまりませんでした。
コインの枚数を数えては、ため息をつきます。
これでは夫の喜びそうなものを買うことができません。
デラは絶望感に襲われました。
ふと鏡台に目がいきました。
近づいて行き、自分の姿を写しました。
「そうだ、わたしにはこれがある」
そういって、自分の手で長い髪をなでました。
「これを売ろう」

髪は高く買い取ってもらえました。
デラはそのお金で、懐中時計につける鎖(くさり)を買いました。
夫は、祖父の代から受け継がれてきた高価な時計を所持していました。
残念なことに、それにつらなる鎖(くさり)がありませんでした。
代わりに古い革ひもが結ばれていました。

アパートに戻ったデラは、夫の帰宅を待ちました。
約束した時間に遅れることなく、ジムがドアを開けました。
デラをみるなり、立ち止まりました。
ことばを失ったようです。
デラは近寄り、事情を話しました。
ジムが取り乱します。
気をとりなおしたのち、オーバーのポケットから、包みを取り出しました。
受け取ったデラが、それを開けました。
高価な櫛(くし)が2つ入っていました。
髪の横と後ろに刺すものです。
デラは歓喜しました。
さっそくつけてみることにしました。
自分にはこれを留める髪がない、ということに気がつきました。

デラは気丈を装って声を出しました。
「わたしの髪はとっても早く伸びるのよ。それよりもこれをみて」
と、輝く鎖(くさり)を差し出しました。

ジムは表情を変えず、椅子に腰をおろしました。
妻の顔をみたのち、ことばを紡ぎました。
ねえデラ、ぼくたちのクリスマスプレゼントはしばらくの間、どこかにしまっておくことにしようよ。
いますぐ使うには上等すぎる。
櫛(くし)を買うお金を作るためにぼくは、時計を売っちゃったのさ、と。

(引用)

二人は愚かなことに、家の最もすばらしい宝物を互いのために台無しにしてしまったのです。
(略)。
贈り物をするすべての人の中で、この二人が最も賢明だったのです。
贈り物をやりとりするすべての人の中で、 この二人のような人たちこそ、最も賢い人たちなのです。
世界中のどこであっても、このような人たちが最高の賢者なのです。

この作品は中学生ぐらいのときに読みました。
大切なひとには、できる限りの贈り物をしなければならない。
これが賢いひとたちのやりかたである。
ぼくはこのときはじめて、プレゼントに関するルールというものを知りました。

この短編から、「気働き」を感じるひともいるようです。
「気働き」とは、機転のことです。
相手が口に出さなくてもこちらで相手の思いを察知して行動するという意味です。
この物語に登場する二人は、お互いに、「気働き」にたけた人物です。

秋本治さんの漫画(集英社刊「こちら葛飾区亀有公園前派出所」第53巻)の中に次のような掌編が登場します。
「賢者の贈り物」のパロディーです。

(文章を引用。)

時は元禄
江戸時代
今夜は
クリスマス!

仲むつまじい
夫婦が おたがい
何かプレゼントを
しようと
考えました!

しかし
貧しいので
お金が ありません
夫は大切に
していた刀を
質屋に あずけ・・・

そのお金で
つげのクシを
買いました
妻の髪は美しく
町内でも評判
だったのです

一方 妻は
その美しい
髪を切り
その髪を売った
お金で・・・

夫の自慢の
刀をかざるため
かざり台を
買ったのです

そしてクリスマスの夜
おたがいの
プレゼントを
見て驚き
ました

刀をかざるにも
その刀は なく
髪をとかすにも
その髪は
なかったのです

夫婦の間で
何ごとも かくさず
プレゼントの話を
事前にしてれば
こんなことに
ならなかった
のに!

その夜ふたりは
大ゲンカを
したそうです
めでたし
めでたし

秋本治さんは天才です。
「賢者の贈り物」をこのように解釈するとは。
絵と一緒に読みますと、よりいっそう楽しさが増します。
機会がありましたらぜひ、「こちら葛飾区亀有公園前派出所」の第53巻をお読みいただければと思います。

秋本さんのパロディーはさておきまして、「賢者の贈り物」は、プレゼントをするさいの作法を教えてくれます。
大切なひとに対しては、できる限りのものを届ける。
すばらしいことであると思います。

ただ、素直に肯けないところもあります。
「賢者の贈り物」における最高のものとは、物質のことです。
櫛(くし)であったり、鎖(くさり)だったりします。
いずれも高価なものです。
お金で買えないもののなかにも、最高の贈り物があるような気もするのですが。
明日のブログでふれてみたいと思います。

はなしは変わります。
香西咲さんのTwitter(2014年12月18日)より引用。

ありがとうございます
でも苦労とは思ってないです。
今物凄く楽しいし幸せです
ファンの方々には違う見え方してると思うけど。

これほど救われることばはありません。
「今物凄く楽しい」
「幸せです」

よかったです。
感激するとぼくは、文学的な表現がでてきません。
凡庸な言い回しで申し訳ありません。



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