すべての女性がもっとも望むことは何か ~「アーサー王物語」より 

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「アーサー王物語」をご存じでしょうか。
いまから約900年ぐらい前のイギリスでつくられた英雄譚です。
アーサー王はブリトン人です。
イギリスに古くから住んでいるひとたちです。

アーサー王の生い立ちは異色です。
生まれてすぐに捨てられます。
幸いなことに、親切なかたが拾って育ててくれました。
あるとき、イギリスの王が突然亡くなります。
急な出来事でした。
跡継ぎをめぐり、王室が混乱します。
こうしたなか、ロンドンの聖ポール大聖堂の前に、大きな石が出現します。
ロンドンのセントポール大聖堂
石の中央には、剣が刺さっていました。
その近くには文字が刻まれています。
「この剣を石より引き抜いたものがイギリスの正統な王である」
と。
噂を聞きつけて、連日、各地から、腕に自信のあるものたちがやってきます。
誰もが徒労におわりました。
石に刺さっている剣を抜くことはできません。
あるとき、取り巻きの群衆のなかから、一人の少年が進み出てきました。
男の子は剣を握りました。
人々は特に関心を示すわけでもなく、ぼんやりと眺めていました。
少年の腕と手が動きました。
人々が叫びました。
「抜けた」
こうしてアーサーは、王に即位することとなったのです。

「アーサー王物語」は、比較的新しい物語です。
これまでに各地で成立している有名なエピソードを取り入れているような感もします。

この剣の逸話は、かつてアレクサンドロスがマケドニアでおこなったことと似ています。
東方遠征に出発する前のことです。
アレクサンドロスは、ある伝説に挑戦しています。
街の片隅に、使われなくなった古い戦車が置かれていました。
前方には、幾重にもロープがまかれています。
かねてより、このロープをほどいたものは世界の王になれる、との言い伝えがありました。
アレクサンドロスはいとも簡単に、それを解き放ちました。

出生についても、同様です。
この手のはなしに特段、目新しさはありません。
一度捨てられた子供がやがて本来の地位につく。
このようなストーリーを「英雄流離譚」といいます。

これからご紹介をする掌編は、まったくのオリジナルです。
「アーサー王物語」のなかにでてくるあるエピソードです。
他との類似性はありません。

ぼく流にリライトしてみたいと思います。

ある日、アーサー王は、一人の女性から相談を受けます。
自分の領地が邪悪な騎士によって奪われてしまった、と。
女性はさらに訴えます。
自分の恋人もその騎士の城へ連れて行かれたと。
義憤を覚えたアーサー王は、一人で邪悪な騎士の城へと向かいます。
領地もその恋人も、私が取り返す。
城の前までやってきました。
外観から妖気のようなものを感じました。
躊躇することなく王は、城内へ入りました。
その瞬間、自分のからだから、気概が抜けていくのを感じました。
城には相手の志気を鎮める魔王がかけられていたのです。
そこに邪悪な騎士があらわれました。
闘争心をなくした王はあっさりと捕まり、捕虜となります。

睥睨する邪悪な騎士に向かって、王がいいました。
「私を助けてください」
相手が口を開きます。
「そんなに命が惜しいのか」
肯く王の姿を確認してから、つづけます。
「いいだろう」
王が安堵します。
「ありがとうございます」
邪悪な騎士がその声を制します。
「ただし条件がある」
王がうつろな目で返しました。
「え?」
邪悪な騎士がほくそ笑みました。
「これからおまえに問題を出す」
アーサー王は上目遣いで邪悪な騎士の顔色をうかがいました。
「もしもそれを解いたらどうなるのですか?」
相手が哄笑しました。
「おまえを許してやろう」
アーサー王は自分のからだを固くしました。
うまくいけば命が助かるかもしれない。
相手を凝視しました。
問題が告げられました。

「すべての女性がもっとも望むことは何か?」

王の頭のなかにいくつかの答が浮かびました。
相手の顔を一瞥しました。
邪悪な騎士が手で制しました。
「答は、これから1年間の間にみつければよい」
思ってもみない条件でした。
相手のことばがつづきます。
「このあと、おまえを自由にしてやる。おまえがどこに行こうと勝手だし、誰に答を聞いても良い」
これを聞いたアーサー王は、相好を崩しました。
邪悪な騎士の唇が歪みました。
「ただし、答をみつけられなければ、おまえの王国をそっくりそのまま私がもらう。いいな」
王は嘆息をしたのち、返事をしました。
「わかりました」

このあと、アーサー王は旅に出ます。
女性に行き会うと、王は訊ねます。
年齢や身分を問わず、ありとあらゆる女性に対して、
「すべての女性がもっとも望むことは何でしょうか?」
と。

千差万別の答が返ってきます。
「美貌」
「健康」
「富」
「立派な夫」
「子ども」
「若さ」
「恋人」
などが。

確信の持てない王は、旅をつづけます。
こうして1年が過ぎました。
約束の日は明日です。
邪悪な騎士のもとへ出向いて、答をいわなければなりません。
ところが、答はまだみつかっていません。
王は狼狽しました。

(明日のブログにつづく)



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