香西咲さんに紹介したい歴史のエピソード ~「最後の授業」

香西咲さんを勝手に応援するサイトの管理人の「焼酎好き」です。よろしくお願いします。

「最後の授業」という物語があります。
フランス人のアルフォンス=ドーデーが書いた作品です。
幼いころに読まれたかもしれません。
とりあえず紹介してみたいと思います。
次のような内容です。

フランスのアルザスに、フランツという少年が住んでいました。

(※地図は、Miwa’s Adventures in Wonderlandから引用。)
アルザス・ロレーヌ地方

ある朝、フランツは、遅刻をして登校します。

(「最後の授業」から引用)

あいにくその日は、何もかもひっそりとして、まるで日曜の朝のようだった。友だちはめいめいの席に並んでいて、アメル先生が、恐ろしい鉄の定規を抱えて行ったり来たりしているのが開いた窓越しに見える。戸を開けて、この静まり返ったまっただなかへ入らなければならない。どんなに恥ずかしく、どんなに恐ろしく思ったことか!

ところが、大違い。アメル先生は怒らずに私を見て、ごく優しく、こう言った。

「早く席へ着いて、フランツ。君がいないでも始めるところだった」

フランツは安堵します。
やがて、教室の雰囲気がいつもとは違うことに気がつきます。

(引用)

私は先生が、督学官の来る日か賞品授与式の日でなければ着ない、立派な、緑色のフロックコートを着て、細かくひだの付いた幅広のネクタイをつけ、刺しゅうをした黒い絹の縁なし帽をかぶっているのに気がついた。それに、教室全体に、何か異様なおごそかさがあった。いちばん驚かされたのは、教室の奥のふだんは空いている席に、村の人たちが、私たちのように黙って腰をおろしていることだった。
(略)
そして、この人たちはみんな悲しそうだった。オゼールじいさんは、縁のいたんだ古い初等読本を持って来ていて、ひざの上にひろげ、大きなめがねを、開いたページの上に置いていた。

教壇に上ったアメル先生が、次のように語りかけます。

(引用)

「みなさん、私が授業をするのはこれが最後です。アルザスロレーヌの学校では、ドイツ語しか教えてはいけないという命令が、ベルリンから来ました…… 新しい先生が明日見えます。今日はフランス語の最後のおけいこです。」

(※地図は、Miwa’s Adventures in Wonderlandから引用。)
アルザス・ロレーヌ地方

1870年、プロイセン(普魯西)と、フランス(仏蘭西)の間で、戦争がおこなわれました。
普仏戦争です。
プロイセンの首相のビスマルクと、フランスの皇帝のナポレオン3世の戦いでもあります。

 (※左がビスマルク。右はナポレオン3世)
ビスマルクナポレオン3世・44歳(皇帝)  
この戦争につきましては、過日のブログ(ニューカレドニアのアメデ島の灯台と、ナポレオン3世)でも簡単にふれております。

プロイセンは当時、21のドイツ人の小国(領邦)と一緒に、「北ドイツ連邦」を結成していました。
盟主はプロイセンです。
南ドイツのいくつかの領邦は、これに加わっていませんでした。
戦争が始まると、バイエルンなど、「北ドイツ連邦」の一員ではない領邦も、戦争に参加しました。
ドイツ連合軍は、フランス軍を圧倒します。
やがてフランスの領内へ攻め入ります。
ナポレオン3世は、焦燥感にかられます。
叔父のナポレオン1世がかつておこなったやりかたを模倣することにしました。
自らが軍隊の先頭に立って指揮を執ることです。
戦いの最前線へ向かいました。
ナポレオン3世には、将軍としての経験がありませんでした。
戦いの途中でドイツ軍に包囲されてしまいます。
ナポレオン3世は、8万人のフランス軍とともに降伏します。
自身は捕虜となりました。
ドイツ軍は進軍をつづけて、首都のパリを包囲します。
1871年1月、フランスの臨時政府は、ドイツに降伏します。
わずか半年間の戦いでした。
ドイツ側は、各領邦が団結して戦いました。
1871年1月、ドイツ帝国の成立が宣言されます。
戦争終結後、両国の間で講和条約が結ばれます。
フランスは、アルザスロレーヌを手放すこととなりました。

(引用)

それから、アメル先生は、フランス語について、つぎからつぎへと話を始めた。フランス語は世界じゅうでいちばん美しい、いちばんはっきりした、いちばん力強い言葉であることや、ある民族がどれいとなっても、その国語を保っているかぎりは、そのろう獄のかぎを握っているようなものだから、私たちのあいだでフランス語をよく守って、決して忘れてはならないことを話した。

(引用)

日課が終ると、習字に移った。この日のために、アメル先生は新しいお手本を用意しておかれた。それには、みごとな丸い書体で、「フランス、アルザス、フランス、アルザス」と書いてあった。

とつぜん教会の時計が十二時を打ち、続いてアンジェリュスの鐘が鳴った。

アメル先生が教壇に上ります。

(地図は、Miwa’s Adventures in Wonderlandから引用。)
アルザス・ロレーヌ地方
(引用)

「みなさん、」と彼は言った。「みなさん、私は……私は……」

しかし何かが彼の息を詰まらせた。彼は言葉を終ることができなかった。

そこで彼は黒板の方へ向きなおると、白墨を一つ手にとって、ありったけの力でしっかりと、できるだけ大きな字で書いた。

「フランスばんざい!」

そうして、頭を壁に押し当てたまま、そこを動かなかった。そして、手で合図をした。

「もうおしまいだ…… お帰り」

1914年8月1日、ドイツはロシアに宣戦布告します。
ここから第一次世界大戦が始まります。
ドイツは、2日後の8月3日、フランスにも宣戦します。

4年後、ドイツが降伏して、戦争は終わります。
1919年1月、戦後処理を話し合うパリ講和会議が開かれました。
フランス首相のクレマンソーは、
「ドイツ人に何もかも払わせてみせる」
という態度でのぞみました。
これを反映してつくられたヴェルサイユ条約は、ドイツにとって過酷なものとなりました。
内容は次の通りです。
 ・巨額な賠償金の支払い
 ・全植民地の放棄
 ・潜水艦と空軍の保有禁止など軍備の制限
 ・ラインラント地方の非武装化
 ・アルザス・ロレーヌ地方のフランスへの割譲

こうして、アルザスとロレーヌはふたたび、フランスのものとなります。

1940年、第二次世界大戦でドイツは、アルザスとロレーヌをフランスから取り返します。
この占領は、1944年までつづきます。




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